きれいの手びき #012 〜自分に合ったウェルネスアイデアを探す〜

2023.09.20
あなたの美しさをつくりだしている源はなんですか?

おいしいものを食べたり、可憐な花を見たり、ふとした人の優しさに触れたり、はたまた「推し」の動画を見たり……。
朝夕のスキンケアとともに、薄いミルフィーユを重ねるように、心が動く日々の小さな幸せも、きっとその要素になっているのではないでしょうか。

このコラムでは、そんな「美しさの源」になるような、毎日の暮らしで実践できるシンプルなアイデアや、季節のミニ知識をお伝えしていきたいと思います。

ウェルネスの本質とは?

季節の移ろいに合わせ、これまでさまざまなウェルネスアイデアをご紹介してきました。心と身体だけでなく、精神や自分が身を置く環境も含めた心地よい状態こそが、ウェルネスの本質だと私は感じています。食事に気を使いナチュラルなライフスタイルを送っていても、心の中につらさや憎しみ、怒りを抱えつづけていれば、自分の理想とする「良い状態」になれないときもあります。生きていくうえで、本当に大切なこととは何かを、このウェルネスというキーワードを通じて、みなさんにも見つめなおして欲しいなと思います。

その手がかりとして、ウェルネスの起源についてご紹介します。ウェルネスという言葉の概念は、1961年にアメリカのハルバート医師が提唱したことで知られています。このハルバート医師は、ウェルネスとは「輝くように生き生きしている状態のことである」と定義しています。単なる健康ではなく、どのように生きているか、というところに重きが置かれています。

さらにウェルネスを理解するうえで大切なことが2つあります。

1. 「ウェルネスは確定したものではなく、これからも変化していくものである」ということ。

2. ウェルネスには大きく分けて「身体」「心」「精神」「環境」「コミュニティ、人との繋がり」がある。それぞれを健康な状態に近づけることも大事だが、もっとも重要なのは、「人と人との繋がりを大切にしさえすれば、すべてのネガティブ要素は解決する」ということ。

それぞれに合ったメソッドを見つけよう。

「心と身体はつながっている」といいますね。精神的にストレスを感じると脈拍が早くなり、血圧、体温が高くなるという変化が起きます。「心因性発熱」も心理的ストレスが原因で起こる症状です。このような身体への影響を少しでも減らすには、自分への感度を高めていくことが大切です。好きなことの追求は得意だけれど、困ったときの対処法、不調のときの改善方法は自信がないという人も多いのではないでしょうか。心地よく自分の良い状態を保ちながら暮らしていくためのメソッドは世の中に溢れています。

でも、あなた自身を守り導いてくれるのは、SNSにあるどこかの誰かの情報ではありません。今まで経験して理解したこと、上手くいかずに何度も試したこと、失敗したこと、そのすべてを活かして生きる今の自分が最良の先生だと思います。一人ひとりの幸せが違うように、ウェルネスのあり方もさまざまです。いつでもそのときの自分にとってベストである「マイ・ウェルネス」を大切にして、これからも健やかな日々を送ってくださいね。


これまできれいの手引きコラムを読んでいただき、ありがとうございました。また皆さんと文字と心が繋がる日がくることを楽しみにしています。



illustration:CHIHIRO YOSHII
WRITER
岡村 貴子 - Okamura Takako -
日本第一号のオーガニックコンシェルジュ。現在は企業のウェルネスデザイン研究所の所長を務め「仕事も暮らしも自分のウェルネスは自分でデザインする」ことを推進している。植物療法士、キャリアコンサルタントなどとしても活動する。著書に『おつかれ女子のウェルネス手帳』(幻冬社)、『オーガニック入門』(ソニーマガジンズ)。