On Beauty: Ayumi Kusumi #18 Being natural is the best

2023.09.21
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは?

On Beauty: ナチュラルが最上級

ここ一年程、自分の美容について改めて考え直しています。

わたしの理想とする美容のテーマは「素材を活かしながら、自然に美しく、年齢を重ねていくこと。」

昔はあんなに「足す」美容やメイクが好きだったのに。今ではすっかり「引く」「削ぎ落とす」方に気持ちが向いています。この一年でチャレンジしているのは、あらゆるものを「素」に戻し、その素材を見つめ直し、磨いてみようということ。

肌は素肌力を上げたいから、スキンケアや生活習慣で肌コンディションを整えるよう心がける。それでも解決しなければ根本解決を期待して、美容医療に頼る。「隠す」ために塗り重ねることは出来るだけ避けたい。爪は、素爪を丁寧にケアして自然なツヤと清潔感のある手元をキープする。白目、歯、といった自分が持つ貴重な「白」の部分を真っ白にクリアに保つ。など。

そんな美容テーマの一環で、ヘアカラーも一旦ストップしてみることにしました。振り返れば10代後半からずっとヘアカラーをしていて、美容院に行くたびに伸びた部分をリタッチしてもらうことが習慣になっていました。

髪が短いということもあり、10ヶ月で約半分ほどが地毛に!驚いたのがその触感...!頭頂から髪を手櫛で滑らせるように撫でると、地毛とカラー毛の境がはっきり分かるほど、手触りが違うんです...!

地毛の部分は艶やかで芯のあるしなやかさを感じるのですが、カラー毛はなんとなく中が乾いているよう。毛先に向かうごとに指先にひっかかりを感じる。カラーといっても、ブリーチなどではなく、限りなく黒に近いダークブラウンに染めていたし、しっかりケアもしているつもりだったので、ダメージはそれほどないと思っていましたがやっぱり、バージンヘアとは違うんですね。光に当たった時のツヤ感や、根元の立ち上がりも全然違います。このナチュラルなツヤをキープしたくて、トリートメントはカラーが残っている部分のみ塗布するようにしているほど。だけど、何もコーティングしていない地毛の方がツヤも手触りも、数段上です。

肌も髪も、本来、ナチュラルに勝るものはないと思っています。

「ナチュラル」と一言でいっても、いろいろなタイプがあると思いますが、私が理想とするのは高級感のあるナチュラルさ。素朴とは違う方向の洗練さを伴う手の行き届いたナチュラルさです。カシミヤも、無着色のカシミヤは天然の優しい生成色。そして抜群の柔らかさ。高級感とナチュラルさを合わせ持つ、リッチな素材としてのお手本。

カラーが残るのはあと、10センチほど。もう少しで約20年ぶりに全てナチュラルなバージンヘアになります。その時を楽しみに待ちながら次は自分のどの素材を磨こうか考えたいと思います。

夏が終わり、これから秋も深まってきます。美容のテーマや目標を見つめ直して、秋の夜長に密やかに磨きをかけてみるのも楽しいですね。
WRITER
久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。