きれいの手びき #002 ~「植物のちから」を知る~

2022.11.28
あなたの美しさをつくりだしている源はなんですか?

おいしいものを食べたり、可憐な花を見たり、ふとした人の優しさに触れたり、はたまた「推し」の動画を見たり……。
朝夕のスキンケアとともに、薄いミルフィーユを重ねるように、心が動く日々の小さな幸せも、きっとその要素になっているのではないでしょうか。

このコラムでは、そんな「美しさの源」になるような、毎日の暮らしで実践できるシンプルなアイデアや、季節のミニ知識をお伝えしていきたいと思います。

私たちの身体と心に寄り添う、植物の存在

今回は、「美しさの源」の1つとして、また私たちの暮らしとも密接につながる「植物」の魅力をご紹介したいと思います。

meethのアイテムにも植物由来成分が多く使われていますが、植物は私たちの日常のあらゆる場面に登場するだけでなく、人間にとって必要不可欠な存在でもあります。衣・食・住のそれぞれに着目してみてもわかる通り、たとえば「衣」の素材は綿花や麻、「食」は野菜や果物、「住」は木材や畳など、さまざまに形を変えて活躍していることがわかります。地球上の植物の数は現在わかっているだけでも25~30万種。34億年前には植物の先祖となるものが存在していたし、地球上でもっとも長生きしている生物の代表格も樹木 (樹齢9000年近く)であるなど、植物からは生命としての圧倒的な多様性と神秘が感じられます。

私たちの健康において、切っても切り離せないのが植物の薬効成分。植物はなぜ薬をつくるのでしょうか。根を張って身動きが取れない状況において、虫や鳥などの外敵、病原菌などから身を守るため、そして同じ植物同士の生存競争に勝つために、自らさまざまな化学防御物質をつくるようになったのだとか……。

その物質の働きを利用して、私たち人間は病気やケガを治してきたのです。最近の研究ではチンパンジーなどの動物も同じように植物を治療に使っていることがわかってきました。薬の約6割は植物や天然由来成分から開発され、日本では約9割の医師が漢方薬を使っています。

暮らしに潤いと安らぎを与えてくれる植物たちは、これからの寒い季節、さらに大活躍してくれるはず。
植物を使ってできる簡単なセルフケアをいくつかご紹介しましょう。

アロマやハーブのちからで元気になる3Tips。

Tip1. ユーカリ・ラジアタで風邪予防
まず予防には抗菌効果の高いユーカリ・ラジアタの精油を活用するのがオススメ。使い方は、マッサージ用のベースオイルを小さじ一杯弱に、ユーカリ・ラジアタの精油を一滴加えるだけ。首、肩、胸、ノドなど、顔まわりをマッサージしながら塗布していきます。この精油は抗炎症、鎮静、解熱作用のある成分を含んでいます。より簡単な使い方でオススメなのは、洗面器に張ったお湯に精油を垂らして、その蒸気を吸うこと。その際はユーカリ・ラジアタのほか、ティートリーやタイムも使えます。

また、風邪のひき始めには「葛湯」を飲むのもいいでしょう。風邪薬でよく知られる葛根湯は、くずの根を乾燥させた漢方の生薬。薬局に行かず葛粉として手軽に食品店で購入できるので、日常に取り入れやすいです。ビタミンK、カリウムなどの栄養素を含んでいて、体を温める働きがありますよ。風邪をひいてしまったら、シンプルにエキナセアのハーブティを飲みましょう。免疫力を高めてくれます。


Tip2. ローズマリーで頭痛・肩こり改善
頭痛や肩こりの原因のひとつは血行不良。それを解消してくれるのが、ローズマリーです。小さじ一杯のマッサージオイルに一滴加え、肩や首の後ろから頭皮までをしっかり指先でマッサージすることで、つらい症状がやわらぎます。最近は便利なロール・スティック状のオイルやジェルも販売されています。痛みのあるこめかみや首筋に塗り込むと、香りも相まって心身ともにほぐしてくれます(幼児、妊婦は使用を避けてください)。ローズマリーはハーブティとして摂取しても、血の巡りをよくしてくれますよ。


Tip3. おやすみ前は柑橘系でリラックス
心身が「おやすみ・モード」のとき、さまざまな神経のなかでも副交感神経が優位に機能します。そうした状態に導いてくれるのが、柑橘系のベルガモットや柚子、オレンジなどの香り。とくにラベンダーは、深く呼吸して鼻からしっかり香りを取り入れることで、リラックス効果が期待できます。また、穏やかに過ごしたいときにはネロリの香りを取り入れるのもオススメです。
*マッサージオイルはホホバオイルが酸化しにくく使いやすいのでオススメです。


これを機に、アロマやハーブから植物の力を生活にとりいれてみませんか?いい香りを身につけ、温かいハーブティを飲みながら、寒い季節の巣ごもりタイムを快適に過ごしてください。

illustration:Chihiro Yoshii
WRITER
岡村 貴子 - Okamura Takako -
日本第一号のオーガニックコンシェルジュ。現在は企業のウェルネスデザイン研究所の所長を務め「仕事も暮らしも自分のウェルネスは自分でデザインする」ことを推進している。植物療法士、キャリアコンサルタントなどとしても活動する。著書に『おつかれ女子のウェルネス手帳』(幻冬社)、『オーガニック入門』(ソニーマガジンズ)。