On Beauty: Ayumi Kusumi #17 Role model

2023.09.05
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは?

On Beauty: ロールモデル

ロールモデルとは、行動や考え方が魅力的で生きる上でお手本にしたい人物のこと。「こんな人になりたい」とその人を見ているだけで自分の理想像を再確認できたり、モチベーションをアップさせてくれる人のこと。

ロールモデルは、自分の環境の変化や成長につれて変わっていく場合もあるし、ひとりである必要はありませんし、また同性である必要もありません。


私は今まで、生きてきた中でたくさんの「ロールモデル」たちに刺激をもらい導かれてきたように思います。

昔から憧れているのはやはり...オードリー・ヘプバーン。
彼女のシック・シンプル・エレガントなファッションや立ち居振る舞いはもちろん、その控えめな物腰や、大スターでいながら、スイスの静かな田舎町で庭仕事と家族で過ごす時間を大切にしたという、地に足がついた落ち着き、晩年を捧げた社会貢献活動に至るまで、その一貫した美しい生き様は、永遠に憧れます。

それから往年の大女優、夏目雅子さん。
涼しげで上品な美貌とチャーミングで可愛らしい仕草。趣味であった俳句からも伝わる、気取らないお人柄。そして何よりも彼女の屈託のない明るい笑顔を見ているとひまわりのような溌剌さはこんなにも人の心を照らすものなのかと、とても勉強になります。

作家では、田辺聖子さんに山田詠美さん。
類稀なる表現力、文章力は説明不要ですが、田辺聖子さんの文章には「生きるって嬉しくて、楽しい。そうでしょう?」という前向きさが、山田詠美さんには他の誰にも真似のできない世界観が、それぞれ眩しく光っていてとても憧れます。


華やかな外見かつ、文章が上手な人にも惹かれます。

日本人だと岸惠子さんと高峰秀子さん。
お二人とも国民的「The 元祖銀幕スター」のような眩い存在でありながら、書かれた文章が本当に面白い。「女優」というイメージに捉われず、あっけらかんと本音を綴りながらも、根底の品性は決して揺るがない。その、バランスに憧れます。

外見でのロールモデルは往年のスーパーモデルのクリスティー・ターリントンとタチアナ・パティッツ。最近ではアレクサンドラ・オーガストンとヴィヴィアン・ローナーがタイプです。
共通するのは、エレガントの中にひとさじのアバンギャルドさと、どこかミステリアスさを感じるところ。長身で首が長く、ショート〜ボブヘアが似合う。ハイブランドをさりげなくナチュラルに着こなすことができる。


有名人だけでなく他にも憧れのロールモデルはたくさん...!自分という素材をベースにいろんな人の「憧れ」の部分を少しずつ、自分に取り入れていくように意識する。それぞれの様々な魅力を自分の中でカクテルするようなイメージをしています。

憧れ、真似できるところは取り入れてみる。そして自分と融合できる形に咀嚼する。その繰り返しで、いつしか誰にも似ていないオリジナルの個性に昇華していく。

ロールモデルを持つことは、理想の自分作りに欠かせないこと。憧れの人たちの力を借りながら、楽しみながら自分をブラッシュアップしていきたい。
WRITER
久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。