On Beauty: Ayumi Kusumi #11 What is Good Quality?

2023.05.22
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは?

On Beauty: What is Good Quality?

「“品”について」

「この人は品がある」と無意識に感じるポイントって一体、どこにあるのでしょうか?

上品という言葉を表す意味での「品」という言葉は元々は仏教用語に由来しています。

生きている間に徳を積んだ量に応じて九段階に「品」を段階分け(「九品(くほん)」という)し、それを持って極楽浄土に行けるかどうかの基準にする。といった仏教のひとつの考え方だそうです。それが発展し、今では人の性質・態度、物の善し悪しを表す言葉として広まっているようです。
 
では現代において「品がいい」ってどういう意味を指すのでしょうか?

それは、形ばかりの「上品」を意識した状態や格式ばった四角四面なものではないと思うのです。

楽しくユーモラスで軽快なキャラクターでも、怒ったり泣いたりといった人間らしい喜怒哀楽があるひとも、いわゆる上品と呼ばれるファッションじゃなくても、いつもどこか品位を感じさせる人っていますよね。

人は人を見てその人から醸し出されるエネルギーを無意識に察知してしまうもの。溢れ出るエネルギーの透明性はつまりは品位の高さとイコールであると思うのです。

反対にエネルギーの透明性を下げてしまうものはへつらい、驕り、蔑み、弁解、ごまかし。といった何かに執着したり、縛られている状態。

それらからできる限り距離を取り、とらわれない自由な精神でいることが何よりも大切だと思います。それこそがその人本来の魅力を輝かせる状態だと思うから。

「品がいいひと」とは、心の透明性を保ち、さらに高められるひと。
とらわれない自由でしなやかな精神を持っている人のこと。

そして何よりも自分に正直に生きているひと。
WRITER
久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。