On Beauty: Ayumi Kusumi #8 Sophistication

2023.04.20
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは?

On Beauty: Sophistication

「洗練について」

洗練という言葉の語源はシルクから来ているようです。
洗練とは、洗って洗って真っ白になった絹糸をさらに練りあげて美しい形にする行為のこと。元は素朴なものを手で磨きをかけて知で垢抜けさせること。

洗練させるとは、自然、ありのままとは反対に技巧的な要素が強いもの。

ダイヤモンドを例にとると原石は炭や鉛筆の芯と同じ成分。元は鈍く光らない素朴な鉱物です。そこから想像を絶する過酷な 高温、高圧の条件を通過したあとにのみあの純粋で圧倒的な輝きが出現する。さらに磨きをかけてカットを施し、石それぞれを引き立たせる美しい形にしていく。そう考えると、洗練というものは一朝一夕では到底手に入らないものですね。

自分を絹糸に例えると、どこまで洗って真っ白にできるのか、そしてそこからどんな形に練り上げられるのか。ダイヤモンドに例えるならば、自分の中に眠っている可能性を信じて光り輝くまで、あらゆる角度から根気よく磨き続けるということでしょうか。

絹糸から紡がれたシルク。
原石から磨かれたダイヤモンドのように。

時間と努力、知性、そして、人の場合はセンスも必要。だからこそ人生の長い時間をかけて手に入れたい、大きな価値のあるものなのでしょう。
WRITER
久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。