On Beauty: Ayumi Kusumi #6 A Drop of Magenta

2023.03.22
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは?

On Beauty: A Drop of Magenta

「マゼンタを一滴」

世界をどんな風に感じているか。
そして、どんな風に見ているか。
友人も家族だってひとりひとり違う。
だからこそ、面白いですね。

同じような状況、環境にあってもそこから見えている世界はひとりひとり全く違う景色なんだと知ることも多く、その都度、新鮮な驚きがあります。人との会話の中で一番興味ををそそられるのは、その人独自の「世界の見方」のようなものが垣間見られる瞬間です。

軽いトークや深い語り、小説や映画の話、ファッションや美容の話、仕事や家族、子育ての話、どんな話題からも、その人の世界の見方は節々に滲み出てくるもの。

なぜこんなにも違うのだろう?

それは、ひとりひとりがそれぞれに自分だけの色眼鏡を持っているからだと思うのです。

「色眼鏡」というと、偏見や先入観が強いというようなあまりよくない言葉に聞こえてしまうかもしれません。でもこれまでの人生で培ってきた「個性」という特性と色を備えた唯一無二のレンズをそれぞれが持っている。

そう考えると、貴重なオリジナルのカラーレンズだと思えませんか?

誰にも似ていない魅力的なレンズを持っている人。自分自身が想像もしないような色で、世界をみることができる人。

人との会話を刺激的で楽しく感じるのは、その人のレンズ越しの世界を覗かせてもらっているような気持ちになるからなのだと思います。

人との出会いによって今までの自分にはなかった新たな見方が広がったということは他者が持つレンズの色を一滴、自分のレンズの色に足せたということ。出会いや経験が積み重なるごとに一滴…一滴とレンズが多様な色で彩られ、世界の見え方が広く豊かになっていくこと。

生きていると、いろいろなことがあるのでいつ何時も澄んだ綺麗な目でいることは難しい。そのレンズは歪むことも曇ることも、時にひび割れることだってある。

でもそんな時も、世界を鮮やかに見つめようとする気持ちだけは忘れずにいたいな。と思います。

時には誰かの優しい色を借りてもいい。
最後に、人と接する時にオススメの方法をひとつ。

相手を見る時、自分の持っているレンズに、とびっきり美しい色を一滴足すようなイメージをしてみること。

私のお気に入りは、イブピアジェのマゼンタを一滴。

それだけでふわっとフィルターがかかるようにいつもより甘く優しい気持ちで相手を見ることが出来るような気がするのです。

WRITER
久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。