On Beauty: Ayumi Kusumi #13 The True Meaning of Dressing Up

雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは？

「ドレスアップの真意」

ドレスアップという行為は不思議です。始める前はなんとなく億劫に感じることもあるけれど、鏡の中の姿が少しずつ完成するに従って気分も高揚してきますよね。

外見を丁寧に整えることは同時に心も整えること。ドレスアップに自信を持つことで何より大切なことは、丁寧に準備したことを他人ではなく自分自身が知っていること。

忙しい時は仕方がないとはいえ、バタバタ準備して出かけてしまった時、何かひとつでもドレスアップで気になることがあると会食やデート、パーティの間なんだかずっと気後れしてしてしまうことってありませんか？「今日時間がなくて...！」と言い訳めいたことを相手に伝えてしまったりして。満足がいくように準備ができた日は自然と背筋も伸びてゆったりとした気持ちでいられるものです。

そもそも「ドレスアップ」って何のためだろう？と考えてみたことがあります。

ひとは多少なりとも自分に自信を持っている時、心を解放できるもの。自信を身につけることではじめてリラックスして、相手に集中することが出来るようになる。

そう考えると「ドレスアップ」を丁寧にする本当の理由は「自信を身につけ、意識を自分から相手へ向けるため」だと思うのです。そんな思いやりの気持ちが根底にあると、それは綺麗なベールとなってその人をさらに美しく輝かせるものとして作用してくれる。

突き詰めると丁寧に身を整えることは相手に優しく向き合う余裕ある心に整えるため。ドレスアップの真意はそこにあると思います。