On Beauty: Ayumi Kusumi #5 What Is Good Taste?

2023.03.08
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。


久住さんが考える「美」とは?

On Beauty: What Is Good Taste?

「センスがいい」って?

センスがいい人って結局のところどういうことなんだろう?

直感的、瞬間的に「この人センスがいい!」ってすぐに分かるものなのに、じゃあ、自分はどこをどう見て、「センスがいい」と感じたのか明確に言葉で説明しようと思うと案外難しい。「センスの良さ」というものは「美しさ」と同じように人それぞれで異なる個人的な感覚でもあるから、定義するのが難しい。

ファッションひとつとってみても、私自身はシンプルでシックなファッションが好きだけど、色使いが華やかなファッションや、少々奇抜な遊び心のあるファッション、ストリート風のファッション、etc…に対しても「この人、センスいい!」と感じる。ジャンルは関係がない。

多分、その人の「個人的な美意識に対する正直さ」という滲み出ているものを感じ取って「センスの良さ」を認識しているんじゃないかと思う。

その人が選ぶあらゆること、着るものにはじまり、普段聞いている音楽や、食べているもの、住んでいる場所やインテリア、背景にあるいろいろな要素が集まってその人の纏う空気となり、雰囲気というものを作り出す。

他人から見た時に、そこに何かしらの一貫性が感じられて、尚且つ自然であること。

これもあれも持ってる。こんな高価なものも持ってる。などは案外、センスの良さにはつながらないもの。

お金を使うことでもたらされる経験から磨かれるものは確かにあります。でも、それはあくまでもきっかけのひとつにすぎない。お金をたくさん使ってもセンスが磨かれない人もいればそう多くないお金の中で最大限センスよく生きる人もいるのだから。

自分自身の美意識に正直にいるとだんだんと自分を取り囲むものに一貫性が出てくる。その集合体が雰囲気となってそのひとから滲み出る。人はそこにハッとして「センスのいい人」と思うのではないかな。

「センスのいい人」を目指すにはやっぱり、自分を知るしかないんですね。いつもここに戻ってしまいます。どこまでも自分からは逃げられないってことです。苦しいけど、楽しみましょう。笑

WRITER
久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。