詩人 黒川隆介とお酒を嗜む。 第1回〈 PePe 〉

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立ち飲み屋からスナック、バーをはしごしていく人生により齢33となりますが、半分の年数ほどは記憶がございません。
これから東京を中心として、全国津々浦々の飲み屋さんを風のように巡っていきたいと思います。


今回のお店は、三軒茶屋はゆうらく通りにあるお店『PePe』さんにお邪魔しました。


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こちらのマスター、一見強面(こわもて)ですが、たいへん丁寧な仕事をする方です。
18歳から料理をはじめ、海外での料理修行、和食修行なども経て『PePe』をはじめたそうです。
自分語りをあまりしない人なので、しばらく通い、もはやお客と店主の仲を越えはじめて友人となってから国外修行のことも知りました。そのときも「海外でその時働いてたんだよね~」といった具合で深くは話さない姿に、外国かぶれ癖のある自分はハッとさせられました。
■ Shop Information
PePe
〒154-0024 東京都世田谷区三軒茶屋2-13-9
営業時間:19:00〜26:00 (日により早じまい)
定休日:日曜日


基本ちゃんぽんの飲み方をしてしまう質なのでレモンサワー、ハイボール、ワインと飲み進めてしまうのですが、今日はなんとなくハイボールに。
※「ちゃんぽん」とは、焼酎だけ、といった飲み方ではなく、一晩にウイスキーもビールも日本酒も、と多種のアルコールを混ぜこぜで飲むことを言う。


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もともと料理人のマスターがやっているので、値段からするとおどろくクオリティーのお酒が出てきます。グラスもしっかりと冷やし、注ぎ方にもこだわっているのでうまい、ハイボールうまい。うまい。もうこの1杯目の時点で朝まで飲んでいる自分が想像できます。ハイボールは500円、レモンサワーは600円、ビールは600円。そしてバーですが、チャージもありません。

黒トリュフポテトとトマトカルパッチョを注文。

まずはポテトから。トリュフの薫りがたまりません。トリュフといえば、媚薬効果があるなんて話もありますが、どうなんでしょう。お店の窓からは三角地帯を行き交う男女がよく見えます、自分もあんな若い頃があったっけな、と回想しながらお酒はさらにすすんでいきます。時間が経ってもポテトがしっかりしていて、これはまさに永遠おつまみ。650円。

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トマトカルパッチョがきました。これはもうバーのつまみではないです。
料理です。逸品ですね。バーのマスターというよりは料理人がバーカウンターに立っている、正確にはそのような感じです。自分は毎晩のようにいろんな店に顔を出しているわりには料理の知識があまり蓄積していないのでわかりませんが、このソースが絶妙にトマトに合います。トマトのやわらかい感じというよりはソリッドな感じですね。ほんとうにこれトマトですか? レストランで出てきたら2,500円はしそうな見た目とたたずまい。これまた650円。

ゆうらく通りのゆうらくは「遊楽」からきているんだろうか、そんな名前のせいでまた飲みすぎてしまったと人のせいにしています。店内のBGMはDJの一面も持つマスターのミックスがかかっており、音楽好きもつい唸る選曲がされています。
三茶も若い子が増えて足が遠のいた、なんて方はぜひ一度、『PePe』に訪れてみてください。格別の料理とお酒、そして音楽にどっぷり浸ることができるでしょう。


最後に、今回の一晩で感じたことを詩にしてみました。

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WRITER
黒川 隆介 -Kurokawa Ryusuke-
16歳から詩を書き始め、国⺠文化祭京都2011にて京都府教育委員⻑賞を受賞。最新の詩集は『この余った勇気をどこに捨てよう』。連載にマガジンハウス『POPEYE Web』での「私的にいいとこ、詩的なところ」や、タワーレコードのWebメディア『Mikiki』での「詩人・黒川隆介のアンサーポエム 」がある。脳科学者からラッパーまで枠を超えた対談を多数行い、雑誌『BRUTUS』の本特集でも対談が4Pに渡り組まれる。詩人の傍らコピーライターとしての一面も持ち、企業の広告コピーも手がける。