
On Beauty: Ayumi Kusumi #10 Reading
2023.05.17
雑誌メディアやご自身のSNSを中心に、シンプルで丁寧な言葉と美しい写真で織りなす日常や世界観に注目が集まるエッセイスト久住あゆみさんの連載。
久住さんが考える「美」とは?
久住さんが考える「美」とは?
On Beauty: Reading
「読書の効用」
突然ですが、最近読書していますか?
スマホを開けばSNSにYouTube、動画視聴サイトで新旧の映画やドラマがいつでも気軽に楽しむことができる。音楽だってサブスクが登場して以来、世界中の曲が聴き放題です。
選択、吸収できるものが広がって豊かになったと思う反面、膨大なコンテンツを前にとにかくたくさん取り入れなくてはという焦燥感に駆られ、ひとつひとつの作品とじっくり向き合うことが難しくなってきたように感じます。
そんな中で「読む。」ことは以前よりハードルが高くなって当然なのかもしれません。
見る、聞くという受動的な行為とは違い、「読む」という行為は少なくとも自分の意思でページをめくらないと先へと進めない能動的なもの。集中力と想像力、それに、時間も必要。
だけど、だからこそ、今この時代にこそ、読書の時間を大切にしたい。
本が素晴らしいと思うのは想像の余地がたっぷりと残されているところ。
登場人物の顔も声も、背景の景色のトーンも、流れる匂いや空気感も、文章から得るインスピレーションを頼りに自由に想像できる。
1ページをじっくり読んでもいいし、順番に読まなくてもいい。ペースもリズムもこちらに委ねられている心地よさ。
そうして夢中になって読書をしていて、さぁ、残り数ページ。にたどり着いたとき、物語と離れるのをとても名残惜しく思いますよね。
そして、ついに訪れた最後のページを静かに閉じて、寂しいけれど達成感にも似た充足された気持ちで読み終わった物語のさまざなシーンを反芻する。
自分なりの考えが心を巡る。考える。想像する。それらをエッセンスとして抽出し、自分の人生に蓄えていく。
そんな風にいい小説やエッセイなどは人の心を満たし、豊かにしてくれます。
それらは、心を潤す美容液であり、心に宝石を溜める行為であり、時が経つと、香水の役割さえしてくれる。
数々の美しい文章や物語に触れることで少しずつ心に立ち込めた香りはいつしか、その人から溢れ出す。まるで、香水の瓶を開けたまま放置したように。
読書という行為にはそんな、魔法のような効果が今も尚、宿っている。そう信じたいのです。
突然ですが、最近読書していますか?
スマホを開けばSNSにYouTube、動画視聴サイトで新旧の映画やドラマがいつでも気軽に楽しむことができる。音楽だってサブスクが登場して以来、世界中の曲が聴き放題です。
選択、吸収できるものが広がって豊かになったと思う反面、膨大なコンテンツを前にとにかくたくさん取り入れなくてはという焦燥感に駆られ、ひとつひとつの作品とじっくり向き合うことが難しくなってきたように感じます。
そんな中で「読む。」ことは以前よりハードルが高くなって当然なのかもしれません。
見る、聞くという受動的な行為とは違い、「読む」という行為は少なくとも自分の意思でページをめくらないと先へと進めない能動的なもの。集中力と想像力、それに、時間も必要。
だけど、だからこそ、今この時代にこそ、読書の時間を大切にしたい。
本が素晴らしいと思うのは想像の余地がたっぷりと残されているところ。
登場人物の顔も声も、背景の景色のトーンも、流れる匂いや空気感も、文章から得るインスピレーションを頼りに自由に想像できる。
1ページをじっくり読んでもいいし、順番に読まなくてもいい。ペースもリズムもこちらに委ねられている心地よさ。
そうして夢中になって読書をしていて、さぁ、残り数ページ。にたどり着いたとき、物語と離れるのをとても名残惜しく思いますよね。
そして、ついに訪れた最後のページを静かに閉じて、寂しいけれど達成感にも似た充足された気持ちで読み終わった物語のさまざなシーンを反芻する。
自分なりの考えが心を巡る。考える。想像する。それらをエッセンスとして抽出し、自分の人生に蓄えていく。
そんな風にいい小説やエッセイなどは人の心を満たし、豊かにしてくれます。
それらは、心を潤す美容液であり、心に宝石を溜める行為であり、時が経つと、香水の役割さえしてくれる。
数々の美しい文章や物語に触れることで少しずつ心に立ち込めた香りはいつしか、その人から溢れ出す。まるで、香水の瓶を開けたまま放置したように。
読書という行為にはそんな、魔法のような効果が今も尚、宿っている。そう信じたいのです。


久住 あゆみ -Kusumi Ayumi-
エッセイスト。大阪府出身、東京都在住。上京後、モデルとして主にCM、広告、ショーなどで活動。結婚、出産後しばらくの休業期間を経てエッセイストとして始動。培ってきた感性や体験を活かし、ジャンルに捉われない様々な分野でエッセイを執筆中。